低音弦の半音階+和音
この項のテーマは『右指の弾き方』になっています。
ここまでの半音階の練習の中で記した、
斜めと直角、2種類のフォームに充分に慣れてから始めるようにしましょう。
・メロディに適した音量を得るために、「P指」で弦に充分に負荷を与え、
・離弦後、隣接する弦に「P指」が寄りかかるように弾きます。
・この低音の半音階の上に、アコードやアルペジオパターンの和音を重ねていきます。
《パターン:Ⅰ》
・「P指」を低音弦に、「ima指」を3本の高音弦にセット、
・爪の先端で弦に負荷を与えながら、表面板に対して垂直方向に腕を移動させ、
・指先を滑らせて離弦するパターン。
(例1:Chapter1 愛しのクレメンタイン)
(例2:Chapter1 ジュピター)
(例3:Chapter1 大きな古時計)
《パターン:Ⅱ》
・低音を「P指」で弾弦した直後、「ima指」の和音にタイムラグを付ける、
・『縦向き波線記号』が付いたアルペジオのパターン。
(例1:Chapter2 低音のメロディ+和音による3曲)
(例2:Chapter2 大きな古時計Ⅱ)
(例3:Chapter2 グリーンスリーブス)
《パターン:Ⅲ》
今回は「低音の半音階とアコードのパターンの和音」を同時に響かせながら、
前項の、Chapter2カノン in C で練習した、
・P指による1拍目の低音、(写真:右)
・P指による弱拍部の伴奏音、(写真:左)
この2種類の弾き方を使いながら、低音弦の音量の増減に挑戦してみましょう。
以下の2枚の写真は、⑥③②①弦を「Pima指」で弾いた離弦後の指の状態を示しています。
◆ポイント1 (写真:左)
これまでに練習してきた《パターン:Ⅰ》の「P+ima」の弾き方の場合、
各弦にセットした爪の先端で弦に負荷を与えながら、
表面板に対して垂直方向に腕を移動させて離弦してきましたが、
ここからは、この腕の動作を小さくしていくと同時に、
「ima指」の付根の関節を内側(=手の平の方向)に曲げながら、
第1関節(=最も先端に位置する関節)の固定度合いを適度に緩めることによって、
離弦させてみましょう。
(連続弾弦 / 逆プラガール:参照)
◆ポイント2 (写真:右)
低音弦を表面板方向に押し込みながら、音量アップを試みる際は、
いきなりアコードの和音と同時に弾く練習に入るのではなく、
上の楽譜の様に「低音+タイムラグを付けた和音」の弾き方を試した上で、
徐々に、このタイムラグを無くしていき、
最終的に『低音+アコードの和音』のパターンへ変化させていくと良いでしょう。
(Pimaによるタイムラグ練習:参照)
練習番号「A」に慣れたところで「B」「C」も試してみましょう。
この後半2種類のアルペジオの音形は参考例になります。
「ima指」の組み合わせや、使用する指の順番を、自分なりに変えながら、
他のアルペジオパターンを試してみるのも面白いかもしれません。
◆参考楽譜
今回、テーマにした技術は、将来的には様々な曲の中に登場してくることになります。
以下、中級者以上のレパートリーの中から参考曲を紹介してみます。
【例1】ゆったりとしたテンポの曲の中に見られるケース。
・サラバンド(ヘンデル) 第2変奏
・モーツァルトの魔笛の主題による変奏曲(ソル) 第2変奏 短調の部分
【例2】軽快なリズムの舞曲や躍動感あふれる曲のケース。
・入江のざわめき(アルベニス)
・前奏曲 第1番(ヴィラ=ロボス)
練習番号「A」「B」「C」の楽譜は、上記4曲とは違って、
かなり無機的で非音楽的な音形ではありますが、
例えば、初めて自転車に乗ろうとする時と同じように、
右指に新しい動作を覚え込ませるトレーニング用の楽譜と考えて下さい。
また、一度、自転車に乗るコツをつかめたら、
その後、毎日、自転車に乗り続けていないと乗れなくなってしまう~というわけではありませんから、
『低音+アコードの和音』のパターンが出来るようになったら、
次の課題(=もしくは未クリアのテーマ)に移ると良いでしょう。