Chapter 1

ジュピター / 独奏編

この前の項の「アルペジオ練習曲 秋の風」を使いながら、 左手の「セーハ」の技術と、右指の課題の「アルペジオ」に関する練習を継続させていきます。
同時に、今回は「久しき昔」で登場した「G」コードに慣れてみましょう。

本来の「G」のコードは、基音が「G=ソ」であることから、
「⑥弦3フレットのソ」の音と「①弦3フレットのソ」を押弦する型が一般的といえます。

しかし、いきなり左指の小指と薬指を同時に使うのは難易度が高いこともあり、 まずは小指のみを使った「G」コードのパターンを、 「久しき昔」「ジュピター」「大きな古時計」といった曲に親しみながらマスターしていきましょう。


上の楽譜は、以前、P指でメロディを弾く練習の際に登場した、 ホルスト作曲の『惑星』から「木星=ジュピター」のものです。 今回は、この旋律に和音を付けて練習していきます。

1. 使用するコードは「Am Em C F G」の5種類。
2. 和音は「ima」を同時に弾くアコードのパターン。
3. 1小節目の最後の低音「ソ」と2小節目最初の「ド」はセットで押弦。
4. 9小節目の「F」は、メロディの「④弦のレ」までセーハしないように注意。


◆タイ
この楽譜の「Em」の和音(=例えば、1小節目の3拍目から次の小節の1拍目)には『弧線』が付いていますが、 これは音楽記号の1つで「タイ」と呼びます。 タイとは、連続する同じ高さの2つの音符を弧線で結ぶことによって、 1つの音符のようにつなげて演奏することを示す記号のことです。
つまり今回の「Em」の場合なら、タイが付いている後ろの音は、 あらためて弾弦せずに響かせたままにする~ということになります。


◆小指の付け根とネックの位置
今回の「ジュピター」に登場する「G」コードは、低音のメロディ「④弦=開放弦レ」の音にセットされているため、 押弦する左指は「4」のみとなっています。
そこで、この音形の段階から、小指の指先で押弦できるように、 先端部分が、ほぼ垂直に向くように意識して練習してみましょう。(写真:左)


この時、小指の付け根とネックが離れすぎていると、小指の腹で押弦する型になり、 場合によっては小指の第2関節が「カックン!」と逆方向に反り返ってしまい、 この状態で練習を継続していると指を傷めてしまう原因になるので注意が必要です。(写真:中央)

また、この離れすぎているケースとは逆に、 指の付け根とネックを接触させながら「握る」という動作を応用して押弦するのも危険です。(写真:右)

確かに、離れている場合よりは指先に力が入るので、 この「G」コード押弦することのみにおいてはテーマをクリアできるのですが、 この様な「力み」を伴う動作は筋肉の速動性が失われ、 スムースなコードチェンジが困難になるので注意しましょう。


1. まずは、なるべく自然体に近い指の形で押弦できるように、
2. 弦に対し、自分の指を近づけ、押し当てる~という考え方ではなく、
3. 左手を開いたリラックスした状態から、各関節を内側に折り畳み、
4. その小指の先端にフレットがある~と考えてみると良いかもしれません。

勿論、空中に構えた左指に、フレットの方が自動的に接近してくる~ということは、 実際にはありえない現象ですが、押弦の際の考え方(=イメージ)として、 あえて、こう表記してみました。