悲しき歌~ハバネラ
南米のチリで活躍したスペイン人ギタリスト、
アントニオ・アルバ(Antonio Alba 1873-1940)作曲の『Pensando en ti』(直訳:あなたを想う)は、
日本では「悲しき歌」「ハバネラ」という題名で親しまれている小品です。
◆アラストレ
この曲には、左手「2=中指」によるアラストレが登場します。
【a】練習番号「A」「C」
④弦「ファ#=4フレット」から、④弦「ミ=2フレット」へのアラストレ。
「ミ」の音を弾弦した後は、この「2=中指」を押さえたままで、
次の「Em→C→Em」の和音を弾きます。
【b】練習番号「C」
この部分の装飾音「ファ」にはナチュラル記号が付いていますので、
調号のシャープは解除される点に注意します。
①弦「ファ♮=1フレット」から、①弦「ソ=3フレット」へアラストレさせます。
次の音の「ファ」にはシャープが付き、
「ファ#=2フレット」を「1=ひとさし指」で押弦します。
◆ハバネラのリズム
「ハバネラ」は19世紀前半にキューバで発祥した舞曲で、
その後、船乗りによってスペインに輸入され、
ヨーロッパをはじめアメリカやメキシコで大流行しました。
まず最初は、このハバネラのリズムを用いた伴奏パターンの中で、
・右手の「Pima指」の動作と、
・和音進行「Em Am B7」の押弦に慣れてみましょう。
前述の和音進行の押弦に、ある程度、慣れたところで、
・「a指」に高音のメロディを担当させてみます。
この音形は、以前『ワルツ』の項で紹介した「Em Am B7 基本形」の伴奏部分を、
ハバネラのリズムへ変化させたパターンになっています。
◆アルペジオ
練習番号「B」には16分音符によるアルペジオが登場します。
この様な、右指に速動性が求められる音形の場合、
なるべく無駄な動作をはぶく~という意味で、
目標となる弾弦予定の弦と、
動作開始直前の右指先端部の距離が離れすぎないように意識してみましょう。
左指に関しては、和音を切り替える際に求められる、
押弦速度をアップさせることに気を配りつつ、
16分音符と8分音符を織り交ぜた音形で練習を開始して、
ある程度、コードチェンジに慣れた段階で、
8分音符の部分を16分音符に置き換え、連続する16分音符の音形の中で、
速動性と同時に持久力アップを目標にしてみるのも良いでしょう。
◆ハーモニクス
練習番号「B」の24、25小節上に表記されている「Harm.7」は、
ハーモニクス(Harmonics〔英〕)の略号で、
⑤⑥弦の7フレット上に軽く左指をあて、
右手で弾弦した直後、それまで弦に触れていた左指を素早く離すことで、
ここで指定されているハーモニクス音を出すことが出来ます。