Chapter 3

半セーハとポジション移動

◆イ長調
「ラ」を基音としたイ長調の曲は「ラ・シ・ド#・レ・ミ・ファ#・ソ#・ラ」の音階で構成され、 調号としてト音記号の右側、拍子記号の左側に「#=シャープ記号」が3つ付き、 五線譜に記された「ファ」「ド」「ソ」の音は、半音高い位置を押弦することになります。


今回は、このイ長調の「A D E7 A」のコード進行を使いながら、 『半セーハ』と『ポジション移動を伴う和音』をマスターしていきましょう。

◆「A D E7 A」の和音練習
・練習番号「A」----P指で低音、ima指で③②①弦を同時に弾くアコードのパターン。
・練習番号「B」----P指で低音、ima指で③②①弦にタイムラグを付けたパターン。
・練習番号「C」----Pimamiの順で弾くアルペジオのパターン。


◆ポイント
・「A→D」コード
「A」の「ド#」を押弦している「2=中指」を軸指にして、 この「2=中指」を②弦の2フレットから3フレットへと移動させながら、 「1=ひとさし指」で2フレットを半セーハします。


・「D→E7」コード
「D」の「レ」を押弦している「2=中指」を軸指にして、 「3=薬指」で③弦「シ」を、「4=小指」で①弦「ソ#」を押弦します。 この時、半セーハしていた「1=ひとさし指」は、 ③②①弦に軽く触れる程度に力を抜いておきます。


・「E7→A」コード
2フレット上に待機中の「1=ひとさし指」で③②①弦に軽く触れながら、 5フレットポジションまで移動、 同時に「2=中指」を②弦から③弦へ移動させ、③弦の「ド#」を押弦します。
この様に、これら「A D E7 A」の4種類の押さえ方を、 一つの流れ、一連の動作として覚えていくことが左指のポイントとなります。

◆アルペジオ練習
最後の、練習番号「C」の音形は、主に8分音符によるアルペジオになっていますので、 和音の切り替え時、より素早い動きが求められることになります。 上記、「A」「B」のパターンに充分に慣れたところで練習を始めてみると良いでしょう。


どうしてもポジション移動が上手くいかない~という場合は、 再度、「A」「B」に戻り、熟練度アップを試みるか、 もしくは、例えば「E7→A」「E7→A」「E7→A」という具合に、 移動部分に意識を集中させながら反復練習を試してみるのも良いでしょう。


im指によるメロディ

◆6/8 (8分の6拍子)
8分の6拍子は『8分音符3つを1拍として数える2拍子』のことをいいます。
通常、2拍子の場合、1拍を3等分する際は「3連符」を用いますが、 曲の大半が1拍を3等分するリズムを持つ場合、連符が延々と続くことになり、 結果、記譜が煩雑になってしまうことから、 いくつかの音符をまとめて1つの拍として数える『複合拍子』が考案されました。


今回は、この「8分の6拍子」で書かれた、ヴェルナーの「野ばら」を題材にしながら、 右手のim指で弾く重音のメロディに親しんでみましょう。

・全体的に8分の6拍子の1拍目と2拍目の強拍部は「Pim指」か「Pima指」で弾きます。
・弱拍部の単音、8分音符は「a指」で弾き、
・付点音符の部分は「im指」による交互弾弦を使うと良いでしょう。


この楽譜には、12小節の2拍目のみに「波線記号」が付いていますが、 これ以外の重音や和音にも、適度にタイムラグを付けて構いません。 ゆったりとしたテンポ感の中で、ギターを豊かに響かせるように心がけてみて下さい。

《6.小節》
・6小節、1拍の2音目「ミ#・シ」は、④弦3フレット「ミ#」を「3=薬指」で押弦、
・②弦開放の「シ」と共に「Pa指」を使って弾きます。


・6小節、2拍の音は、「ミ#」を押弦中の「3=薬指」を軸指にして、
・薬指を半音(=1フレット)高い方向に移動、④弦4フレットの「ファ#」を押弦。
・同時に「1=ひとさし指」で2フレットをセーハして「ファ#・ファ#・ラ」を弾きます。

この「ミ#」は、「ファ」と同じ④弦3フレットを押弦しますが、 この音は2拍目の「F#m」を導く音=導音の意味を持つため、ここでは「ファ♮」とは表記せずに、 「F#m」の主音である「F#=ファ#」から短2度低い音である「ミ#」と記します。

《12.小節》
・12小節、1拍の2音目「ファ#」から3音目「ソ#」は、
・①弦上を「3=薬指」を使って、ハイフレット方向へ移動、
・12小節、2拍の音は、5フレットを「1=ひとさし指」で半セーハしつつ、
・同時に「2=中指」で③弦6フレットの「ド#」を押弦します。


この時、高音部のメロディが途切れないように意識すると同時に、低音の「ミ→ラ」の音の響きや、 1拍目「E」→2拍目「A」にむかう和音の流れを注意深く確認しながら弾いてみましょう。