im指による伴奏
【独奏曲の楽譜】
クラシックギターの楽譜の場合、以下の例のように、
冒頭、4分の3拍子と明記されているのに、小節内の拍数を単純に計算してみると、
「例1」の場合は「4拍ある?」「それとも5拍?」、
また下段の「例2」では「5拍半」あるようにも見えてしまうので、
ギターの楽譜に慣れていない段階では、少々、戸惑うこともあるかと思います。
これは、最も高い音形のメロディにあたる部分と、
中央に位置する伴奏の部分、そして最も低いベース担当のパート、
これら3つのパートが1つの五線譜の中に圧縮して書かれている総譜~と考えてみると良いでしょう。
各パートの「Pima指の役割分担」は、主に以下のようになります。
1. 高音メロディ部=a指
2. 中央の伴奏部=im指
3. 低音=P指
ただし、この楽譜例の「1小節の3拍目」には「3連符」が記されていますが、
この種の細かい音形を「a指」のみで弾くのは、少々、無理がありますので、
この場合は「im指」の交互弾弦を用いることになります。
また「例2」の2小節目のように、中央の伴奏部が2音ではなく3音ある場合は、
最も低い伴奏音(=④弦のミ)を「P指」で弾くこともあります。
今回は、この「メロディ+伴奏+低音」という、
3つのパートを奏でるパターンに慣れ親しんでみましょう。
【開放弦による練習 1】
まず最初は、左指の押弦は使わずに右指のみによる開放弦の練習から始めます。
・a指=①弦ミの音、これはメロディにあたる部分に、
・im指=③弦ソ、②弦シの音、この2音は伴奏音、
・P指=⑥弦ミの音は、低音、ベースとなります。
以下の楽譜、各小節1拍目の「a指」と「P指」で弾く、
①弦ミの音と⑥弦ミの音には「縦向きの波線記号」は付いていませんが、
これまで同様に、多少のタイムラグを付けて構いません。
この練習のポイントは、メロディ、伴奏、低音という3パートの音量のバランスにあります。
具体的には、「a指」と「P指」に関しては、
それぞれ表面板方向に充分な負荷を与えながら離弦していくのに対し、
「im指」の場合は、表面板方向ではなく隣接する弦の方向へ、
加える力量も少なめに設定した上で離弦してみましょう。
クラシックギターは弦を振動させて音を出す楽器ですが、
実際には弦の振動がブリッジ部分から表面板に伝わり、
またそこからボディー全体が振動することによって楽器特有の倍音が形成され、
私達は「ギターの音」「ギターらしい音」というものを認識することになります。
この時、弦に加える負荷の量=その力量によって音の大きさが変化するわけですが、
同時に弦に加える負荷の方向=表面板に対して「縦振動か、横振動か?」によっても、
その音質=音のニュアンスを変化させることが可能な楽器といえます。
この様に、弦の振動方向をコントロールすることにより、
メロディ、伴奏、低音と、それぞれのパートに相応しい音を目指していきましょう。
【開放弦による練習 2】
この下の楽譜は、前述の伴奏部にあたる「4分音符」の部分を、
「8分音符」に置き換えたものになっています。
通常、この楽譜を使って練習する際、
「開放弦による練習 1」のスピードを維持すべき~と考えるとは思いますが、
その必要は全くありません。
ここでは、「im指」のタッチ=弦の振動方向をコントロールする指先の神経を養うことがテーマになっていますので、
この「練習 2」の8分音符を「練習 1」の4分音符ぶんの長さとして考え、
指先で確実に弦をとらえることが可能な速度から練習を開始、
ある程度、慣れてきたところでスピードアップさせていくと良いでしょう。
【和音の基本練習】
開放弦による練習の中で各役割分担を踏まえた右指の弾き方に慣れてきたところで、
左指の押弦も取り入れてみましょう。
以下の楽譜は『アルペジオ練習 Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ7-Ⅰ』の項の中で、
「毎日の練習」に適したアルペジオパターンとして紹介した「Am Dm E7」「C F G7」のコード進行です。
まず最初に、この2種類のコードの基本形を復習しておきましょう。