上行のスラー (hammering-on)
1. 打弦予定の任意のフレット上に指先を待機させ、
2. なるべく、「C」以外の関節を動かさないように意識しながら、
3. 音を出すタイミングで、指先を目標のフレット方向にスピーディーに打ち下ろします。
任意のフレット上に指先を待機させる際、
「C」関節を中心にして指全体を外側(=手の甲)方向に極端に曲げてしまうと、
打弦ポイントと指先との間に距離がありすぎるため、
合理的な指の動作を覚えることが不可能になってしまいます。(写真:左↓)
また、「B」関節のみを屈曲させるハンマリング動作は、
ほぼ打弦による発音が困難な上に、
関節の故障リスクが高まる危険な動かし方なので注意が必要です。(写真:中央↑)
◆開放弦上のスラー
この上行スラーの発音のポイントは、スピーディーなハンマリング動作にあります。
これは、参考楽譜の8分音符を16分音符のようにテンポアップして弾く(=fast)のではなく、
打弦する際の動作そのものを、瞬間的に素早く行うこと(=quick)がテーマになります。
打弦する際は、指の付け根の「C」関節を使うようにします。
また、ローポジションにおける指先の指板への入射角は、
通常の押弦練習時と同じように「斜めのフォーム」になるように意識すると良いでしょう。(写真:右↓)
練習開始当初は、指を動かすだけでも大変な作業で、
思うような音が出せないかもしれませんが、
普段の日常生活で使うことの無い動作を身に付ける段階なので仕方ありません。
指の動きに注意を払いながら丁寧な練習を心がけていきましょう。
◆押弦上のスラー
・左手「1=ひとさし指」を「7フレット」にセットしながら、
・「4=小指」「3=薬指」「2=中指」による上行のスラーを練習します。
「1=ひとさし指」を軸指にする場合は、手の平の大きさ(=横幅)に個人差はありますが、
およそ各指を横に広げる必要のない「7フレットポジション」を使います。
・打弦ポイントはフレットの左側、ギリギリの部分に設定。(写真:左)
・フレットの真上ですと、指先の肉で弦振動を吸収していまいますし、(写真:中央)
・中間部の場合は、エネルギーが効率良く弦に伝わらないケースがあります。(写真:右)
これはギターに限った話ではありませんが、
指先を使う作業には人間の脳を活性化させる効果があるそうです。
また、一方、人間の筋肉には持続的な強い運動を続け、疲労が蓄積されると、
しだいに強い収縮を維持できなくなる~という特徴があるそうです。
そこで「疲れてきたな・・」と感じたら、即、休憩を入れるようにして、
軽く手を揉みほぐしたり、ぬるめのお湯に浸してマッサージしてみるのも良いでしょう。
練習後、使用した楽器のお手入れと同時に、
自分自身の身体への気配りも忘れないようにしましょう。