Chapter 1

3連符

ここからは、前項の「薬指と小指の拡張」で練習した「C F G7 Fm G」のコードを使った独奏曲に挑戦してみましょう。 まずは「アメイジング・グレイス」のメロディを弾きながら、今回、新たに登場する「3連符」に慣れていきます。

◆置き換え押弦
冒頭のアウフタクトの部分の運指は、以前「オーラリー」の際に解説した「セット押弦」を使うと、 「ソ=3 ド=4 ド=4」となりますが、今回は「4=小指」で押さえた「ド」の音を、 「3=薬指」で押さえなおす、「ソ=3 ド=4 ド=3」~というパターンを試してみましょう。
この「置き換え押弦」と「セット押弦」ですが、曲として演奏がスムーズに進行するなら、 どちらのパターンを使っても構わないと思いますが、 今回は「この様な運指もありえる~選択肢の一つ」として課題にしてみました。


◆タイ
7小節~8小節の③弦「ソ」の音と、最後の15小節~16小節の⑤弦「ド」の音には、 「タイ」がかかっていますので、 それぞれ後半の音は改めて弾弦する必要はありません。

◆3連符
3連符とは、ある音符を3等分した長さを持つ音符のことです。 表記する場合は、3等分する前の音符の半分の長さの音符が使われ、 その上部に「3」という数字が付属します。


これを文字で表現するのは、中々、難しい作業になるのですが、 上に記した楽譜の「アメイジング・グレイス」は4分の3拍子なので、 「1拍・2拍・3拍」の4分音符を「タ~ン・タ~ン・タ~ン」と例えると、 アウフタクト直後の1小節目は「タ~ン・(タ~ン)・タタタ」という感じになります。

練習のポイントとしては、あまり焦って弾こうとしないことです。 特にこの曲の3連符は、2分音符の後に登場することもあり、 「3つの音を素早く弾かなくては!」などと考えてしまうと、 それまで優雅に滑っていたフィギュアスケート選手が「オットットッ!」と、 氷の上で「何かに、つまづいてしまった?」かのように聴こえてしまいがちです。 確かに、3連符は「1拍の中に3つの音が存在する」のですが、 おおらかな雰囲気で、ゆったりと弾いてみることをお薦めします。


アメイジング・グレイス 独奏編

今回の楽譜は、前回の「アメイジング・グレイス」のメロディに、 高音弦(①②③弦)の和音を加えた独奏編となっています。 この曲の練習のポイントは、押弦中の1つ指を軸としながら他の指を動していく、 左指の運指(=軸指の技術)をマスターすることにあります。

1. 1小節目の「C」コード。②弦「ド」の「1=ひとさし指」を軸指にして、
2. この「1」を押弦したままの状態でメロディの3連符を弾きます。
3. 4小節目の3拍目の置き換え押弦も、「1」を軸指にしながら押さえます。
4. 以降「C」コード部分の3拍目のメロディは、「1」が軸指となります。


5. 8小節目は「G」コードの「4=小指」を軸にして、④③弦のメロディを弾きます。
6. 15小節目の「C Fm」の部分は、「3=薬指」を軸指にして、
7. 低音の⑤弦「ド」を押さえながら、「C」「Fm」の高音弦を押さえます。

◆タイの部分について
8小節1拍目⑥弦「ソ」の音と、最後の16小節1拍目⑤弦「ド」の音は、 いずれもメロディ練習の際に「タイ」がかかっていた部分です。 この独奏編の楽譜には「タイ」は付いていないので改めて弾弦することになりますが、 あまり大きな音で弾く必要はありません。 あくまでも前の小節の余韻と考えながら弾いてみましょう。


今回、練習した「アメイジング・グレイス」は、全体的にゆったりとしたスローテンポの曲なので、 この曲の中で『軸指』の技術を確実にマスターしていくと良いでしょう。 将来的にはアップテンポの曲の中に登場する、 高速コードチェンジに求められる基本技術といえます。