Chapter 1

跳弦 / P指と薬指

今回は、イングランドの作曲家トマス・ヘインズ・ベイリー作曲の 「久しき昔」(Long, Long Ago)のメロディを題材にしています。
曲の最初から8小節までのメロディは「ドレミファソ」と、 ⑤弦~④弦、④弦~③弦へ隣り合う弦を移動してますが、 8小節以降は、⑤弦~③弦、⑥弦~④弦と、離れた弦に移動しています。
今回は「P指」と「3=薬指」の、離れた弦へ飛び移る動き=『跳弦』がテーマになります。

・8小節 ⑤弦「ド」~9小節 ③弦「ソ」
この部分には休符がありますし、次の「ソ」は開放弦なので左指は問題ないでしょう。
P指の跳弦に意識を集中させましょう。

・9小節 ⑥弦「ソ」~10小節 ④弦「ファ」
・11小節 ⑥弦「ソ」~12小節 ④弦「ファ」
上記のような音形に対して、これまでは、⑥弦「ソ=3薬指」④弦「ファ=4小指」を使ってきましたが、 今回は、あえて「3=薬指」のみで押弦します。

◆習得練習の順番
・音を出さずに⑥弦~④弦に「3=薬指」で飛び移る練習。
・⑥弦~④弦の開放弦で「P指」を移動させる練習。
・楽譜の通り、「3=薬指」「P指」の両方同時に跳弦。

今までに無い技術に接した時、一度に全ての技術を覚えるには無理があります。
最初のうちは「薬指のみ」「P指のみ」と分けて練習することをお薦めします。


久しき昔 / 小指の押弦

前回の『久しき昔』のメロディに和音を付け、独奏に挑戦してみましょう。 まず最初は、下の楽譜を見ながら、「ami」を同時に鳴らす和音と、「P」で低音を「im」で和音というパターン、
そして左手の「4=小指」で①弦「ソ」の音を押さえる「G」コードの押さえ方を覚えます。
◆和音練習
2段目の「G」コードは、低音が③弦の開放弦「ソ」になっています。 この「ソ」の音は、1段目とは違ってP指で弾く点に注意しましょう。 最後の「Pima」による「C」コードは、指の第2関節(=指先から数えて2番目の関節)を曲げる動作を使うのではなく、 各指の付け根から弦にパワーを加えたら、 そのまま表面板に対して垂直方向に、腕を引き抜くようなイメージで離弦します。
ある程度、この和音練習に慣れたところで、下の『独奏編』に入ります。


◆独奏編のポイント
・③②①弦の和音は、「i=ひとさし指」「m=中指」「a=薬指」で、
・②①弦、③②弦の和音は、「i=ひとさし指」「m=中指」で弾きます。
・3段目、9小節からのフレーズは、左指の動きが激しくなるので注意しましょう。

上の楽譜には運指の参考例としてダイアグラムも載せましたが、 市販されているクラシックギターの曲集の大半は、五線譜に指番号と弦指定のみで販売されています。


ある程度、時間が必要かもしれませんが、およそ運指が理解できたところで、 ダイアグラム無しの楽譜にも慣れていくと良いでしょう。

◆小指の押弦について
今回、初登場の「G」コードの左手「4=小指」の押弦は、慣れるのに時間が必要です。
これは、日常生活の中で「小指」を使う機会が、ほとんど無いに等しいのですから当然のことです。
それだけに、ついつい練習に熱が入りすぎると、必要以上に力んでしまいやすいのですが、 これが悪循環の原因になりかねません。

例えば、友人宅を訪ねた際に呼び鈴を押す時、スマートフォンで文字入力する時、 ゲーム機のコントロールボタンを押す時、テレビのリモコンでチャンネルを変える時、 パソコンのマウスをクリックする時など、これらの動作を行うと、指先や腕全体が極度の緊張状態に陥り、 ガチガチに力んでしまう~ということは無いはずです。

まずは、深呼吸してリラックスすることです。幸いなことに、不慣れな小指を使うとはいうものの、 小指の押弦には、さほど大きな力量=筋力といったものは必要ありません。
・小指の先端が、正確に弦とフレットを押さえているか?
・左肘から手首にかけて、また手首から手の甲にかけて、必要以上に力んでいないか?
これらの点に気を配りながら、根気よくマスターしていきましょう。