和音の弾き方 / 右手の動作
◆実験
右手3本の指「i=ひとさし指」「m=中指」「a=薬指」を「③②①弦」にセットしてみます。
左指は使いません。全て開放弦で構いません。
試しに、セットした3本の指先で弦を表面板方向に軽く押してみると、
弦は元の位置に戻ろうとして、押したエネルギーのぶんだけ反発してきます。
この時、指の関節から指の付け根(=ナックル)部分を脱力させると、
弦は元の位置に戻るだけで何も起きません。
それでは、再度、指先で弦にパワーを加えたら、
今度は指の関節を脱力させずに、弦の反発に対して耐え続けてみます。
これは、腕全体をガチガチに固めながら押し込む~というわけではなく、
強く押せば強く、弱く押せば弱く、弦は『自分が加えた量と同等の力で反発してくる』ので、
その反発に反応しながら耐え続ける~ということです。
次に、側面板の上に乗せている右手の肘(ヒジ)を軽く浮かせ、
左手の手の平を上にしながら側面板と右肘の間に挟み込むようにして、
丁度、側面板と接しているあたりの右手の筋肉の動きを、
自分の左手で確認できるようにしてみます。
この状態で、再び、右指で弦にパワーを「加える、脱力する、加える、脱力~」という動作を試みると、
右手前腕の手の平側に位置する屈筋が「ピク、ピク!」と、
緊張と緩和を繰り返していることが確認できます。
この様に、弦にパワーを加える際に使う筋肉は、指先から遠く離れた『前腕』にあり、
ギターを弾くという動作は、指先の筋肉による仕事(=フィンガーワーク)ではなく、
腕の筋肉の仕事(=アームワーク)だといえるでしょう。
◆発音
実験後、再び、3本の指で弦にパワーを加えたり、脱力したりしていると、
実験前には意識していなかった右腕の屈筋の動きが、
左手で触れることなく自覚できるようになってきます。
ここで、弦に加えるパワーの方向を、今までの表面板方向(=真下)のみではなく、
やや右肘方向(=斜め下)への力も加えながら、そのまま指先の関節を曲げることなく、
腕全体を表面板に対して垂直(=真上)方向へ引き抜くようなイメージで離弦させます。
※ここで言う「真下」「真上」とは、物理的な真下(=床方向)、
真上(=自分の顔方向)~ではなく、表面板に対して~という意味です。
上の写真では、イメージしやすい様に、少々、オーバーアクション気味に腕を動かしています。
実際の腕の動きとしては、弦の上、1cm~2cm程度まで浮かせるのみで充分です。
離弦後(=弦から指が離れた直後)、即、脱力して、手を自然な状態へ戻します。
すでに、弦にパワーを加える仕事を終えているにも関わらず、筋肉の緊張を継続させていると、
疲れやすいだけでなく、手の故障につながるので注意しましょう。