Chapter 1

和音について

和音とは3つ以上の音の重なりのことで、「コード chord」と呼ばれており、 例えば『ド・ミ・ソ』や『レ・ファ・ラ』の音を同時に鳴らした時のことをいいます。

◆コードネーム
コードは、その音の組み合わせによって、明るい、暗い、粋な感じ、 不気味な雰囲気~など、それぞれ独特な表情を持っていて、 そのコードの性質を表す記号のことを「コードネーム」といいます。
ギターで用いられるコードネームはイタリア式の階名(ド・レ・ミ・ファ・ソ~)ではなく、 英語式の音名(A・B・C・D・E~)を用いるのが一般的で、 例えば『ド・ミ・ソ』の場合は「C シー」のコード、 『レ・ファ・ラ』なら「Dm ディーマイナー」のコードと呼びます。



◆メジャーとマイナー
コードの中で最も基本となるのが「メジャーコード」で、 『ド』の音を基音とした明るい雰囲気を持つのが「C」のコードです。 この時、この『ド・ミ・ソ』の和音の『ミ』の音を半音だけ下げてみると、 コードの持つ性質が変化して、何とも暗い、さびしい雰囲気になります。 これが「マイナーコード」といって「Cm シーマイナー」と呼びます。



また『レ・ファ・ラ』の場合なら、「ファ」の音を半音高くして「ファ♯」にすると、 マイナーコードだった「Dm」が、メジャーコードの「D」へと変化します。 この様に3つの音の真ん中にある音~『ド・ミ・ソ』なら「ミ」の音、 『レ・ファ・ラ』なら「ファ」の音~の高さによって、メジャーかマイナーかが決まるわけです。

◆度数という数え方
「度数」とは、音楽理論で用いられる『音の間隔を表す単位』のことで、
「ド」と「ド」は同じ音のことですから「1度」、
「ド」と「レ」の場合は「2度」、
「ド」と「ミ」なら「3度」、
「ド」と「ファ」なら「4度」、
「ド」と「ソ」なら「5度」というように表します。
この時、音と音の間が「半音」か「全音」かは関係なく、 例えば、隣り合っている「ミ」と「ファ」の間は半音ですが、この場合も「2度」の関係にあります。

しかし「C」のコードで説明した通り、同じ「3度」でありながら、真ん中の「ミ」音が「ミ♭」になるだけで、 コードの性質がまったく異なるものに変化してしまうことから、 コードネームを表す際には、この度数をさらに細分化して半音単位で数えた方が便利といえるでしょう。

さて、ピアノの場合ですが、それほどピアノに親しんだことのない人でも、 1オクターブの間に白鍵と黒鍵を含めて12個の鍵盤が並んでいるのは、 何となくイメージできるのではないかと思います。



ギターの場合は、指板の上に音程を作るフレットが綺麗に並んでいるので、 見た目からして分かりやすいのですが、この一つ一つのフレット間は「半音」で構成されていますから、

例えば、⑥弦の開放弦を「ミ」の音に調弦していれば、⑥弦の1フレットは「ファ」、2フレットは「ファ♯」、 3フレットは「ソ」、4フレットは「ソ♯」、5フレットは「ラ」と続き、 ⑥弦の12フレットは、開放弦の「ミ」より1オクターブ高い「ミ」になります。
同様に⑤弦の開放弦が「ラ」なら、⑤弦12フレットは開放弦より1オクターブ高い「ラ」の音に、
④弦の開放弦が「レ」なら、④弦12フレットは1オクターブ高い「レ」になります。


以下、開放弦の音を基音として、各フレットの音との関係で例えてみると~
開放弦は基音なので、『完全1度』。
開放弦の音と「1F」の音は『短2度』、
開放弦の音と「2F」の音は『長2度』、
開放弦の音と「3F」の音は『短3度』、
開放弦の音と「4F」の音は『長3度』、
開放弦の音と「5F」の音は『完全4度』、
開放弦の音と「6F」の音は『増4度』、または『減5度』、
開放弦の音と「7F」の音は『完全5度』、
開放弦の音と「8F」の音は『短6度』、
開放弦の音と「9F」の音は『長6度』、
開放弦の音と「10F」の音は『短7度』、
開放弦の音と「11F」の音は『長7度』、
開放弦の音と「12F」の音は『完全8度』の関係にある~と呼びます。

この「完全・長・短・増・減」という、 半音も含めた音と音の間隔を表す呼び方を、コードネームに使わている書き方で並べると、 以下の様になります。

・完全1度(基音=Root)
・短2度(minor2=m2)
・長2度(Major2=M2)
・短3度(minor3=m3)
・長3度(Major3=M3)
・完全4度(Perfect4=P4)
・増4度(augument4) or 減5度(diminish5)=d5
・完全5度(Perfect5=P5)
・短6度(minor6=m6)
・長6度(Major6=M6)
・短7度(minor7=m7)
・長7度(Major7=M7)
・完全8度(Perfect8)

「m7」や「M7」という書き方は、その度数の省略記号になりますが、 勿論、これら全てを、今すぐ暗記する必要はありません。 しかしこの様に半音単位で覚えていると、 後々、意味が分かりにくいコードネームに出会った際に役立つでしょう。


セブンスコード 7th Code

すでにコード(=和音)とは、3つ以上の音の重なりのことであることを説明しましたが、 ここで4つめの音として、基音から7度高い音を加えたコードのことを「7th セブンスコード」と呼びます。
例えば「C」のコードなら、基音である「ド」の音から7度高い音「シ」の音を加えると、 「C」の「7th セブンスコード」になるわけですが・・・、
ここでポイントになるのが、この「セブンス」には2種類あるという点です。

「なぜ、2種類あるのか?」

それは「7度」の音には、短7度(minor7=m7)の音と、長7度(Major7=M7)の音があるからです。
例えば『ド・ミ・ソ』の和音=「C」のコードの場合、短7度の音=「シ♭」が仲間入りした際は、 ただ単純に「数字の7」のみが付いて「C7 シーセブン」と呼び、 長7度の音=「シ」が仲間に加わると「CM7 シーメジャーセブン」というコードになるわけです。



では、以前、登場した『レ・ファ・ラ』の「Dm」のコードの場合は?
この3つの音に短7度の音=「ド」が加われば、 「数字の7」のみが付いて「Dm7 ディーマイナーセブン」というコードに、 長7度の音=「ド♯」が加わると「DmM7 ディーマイナーメジャーセブン」というコードになります。

それでは「G7」のコードは、どんな音になるでしょう?

まず「G=ソ」ですから、基音=Rootは「ソ」となります。 そして3つの音の間隔は「C」の時と同じなので、「ソ・シ・レ」となり、 これに「ソの音から短7度高い音=ファ」が仲間入りすると「G7」となるわけです。 (ちなみに、この時「ソの音から長7度高い音=ファ♯」が加わると「GM7 ジーメジャーセブン」というコードになります)



コードには、まだまだ多くの種類がありますが、全てを暗記する必要はないでしょう。 およそこの「7th セブンスコード」あたりまで理解しておけば、 多くのコードに対応できると思います。