Chapter 1

左手親指の位置 / カエルのうた

⑤弦~③弦の音階を聞き慣れたメロディ「カエルのうた」で練習します。
後半の8分音符も、P指の先で弦を叩くような動作にならないように、 弦をとらえてパワーを加え離弦するように心がけます。 慣れないうちは、どうしても接弦から離弦までに時間がかかってしまい、 音と音の間に無音状態が生じて曲としてのリズムが狂うかもしれませんが、それでも構いません。
まずは確実に弦をとらえることを優先させましょう。


左手の手の平は、ネックの裏側に軽くあてがいます。 親指の付け根あたりの「ふっくらとした」部分が、ネックの裏側に、そっと触れる程度で充分です。

人の「手の運動」の代表例には、「つまむ」「つかむ」「握る」などの動作がありますが、
「つまむ」は、豆や米つぶ、衣服に付着した糸クズ、床に落ちた小さなゴミなどを、 数本の指ではさんで持つことをいいます。 「つかむ」という動作は、5本の指を曲げて物を握り持つことで、 木登りしようと太い枝をつかんだ、逃げようとする犯人の腕を必死でつかんだ~というように、
「つまむ」のケースより、さらに大きな物が対象になっているようです。

また、この「つかむ」という動作に含まれている「握る」という動作には、 バットを握る、ゴルフクラブを握る、鉄棒を握る、握手会で憧れの人の手をシッカリと握った~と、 つかんでいる物と手の平の間に隙間が無くなるほどの『力』を加えている点が特徴です。

さて、ここからギターの話しに戻りますが、 まず『左指で押弦する時のイメージ』として、 ネックを「つかむ」「握る」という動作を思い浮かべていると、中々、思い通りになりません。
そもそも押弦には、それほど強い力は必要ないのですが、 「どのくらい押せばいいのか?」という、その「力加減」が分からないうちは、 どうしても力んでしまいがちです。


左手が力むと、親指の付け根から手首の中央付近に、細い「腱」が浮き上がり(写真:右)、
何かを握った時と、かなり似た状態になります。手首がこの様な緊張状態にあると、 曲の演奏に求められる次の段階~素早く押したり離したりする俊敏な動作が難しくなってしまいます。
左手のポイントは、ネックを強く握る、 ネックに手の平を押し付ける~という『力み』を伴うものではなく、 軽くあてる、そっとそえる程度で充分だということを覚えましょう。(写真:左)


低音弦の練習 / 左指の入射角

ここでは、前回登場した⑤弦3フレットの「ド」の音から始まり、 ⑥弦開放弦の「ミ」の音までの位置を覚えます。 この時、押弦する各指を指板に対して無理に垂直にする必要はありません。
⑤弦「ド」「シ」を押さえる「3」「2」の指は、やや斜め方向から、
それに比べて、⑥弦「ソ」を押さえる「3」の指は垂直方向へと変化、
「ファ」を押さえる「1」の指は、指先の側面(=親指に近い方)を使って押さえます。


また、⑥弦が手の平から一番遠い距離にあるからといって、 左手全体のフォームを保持させながら、指を伸ばすのみでフレットを押さえようとしたり、 ネックに触れている左手親指の位置を固定させながら、 手首を突き出すことによって指を届かせようとする必要はありません。


「⑥弦に指が届きにくいな~」と感じたら、ネックの裏側に触れている左手の親指の位置を、 高音弦の方向へ(約1cm~2cm程度)移動させ、手の甲の角度を、多少、変化させてみると良いでしょう。