Chapter 2

故郷の人々

『故郷の人々』(Old Folks at Home)は、別名『スワニー河』(Swanee River)という題名でも知られている、 スティーブン・フォスター作曲のアメリカの歌曲です。

◆ト長調
この曲は「ソ」を基音(=ルート)とした「ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ#・ソ」という音階で構成されるト長調の曲です。 ト長調の調号(=曲の調性を示す記号)として、 ト音記号の右側、拍子記号の左側に「#=シャープ記号」が1つ付き、 五線譜に記された「ファ」の音は、全て半音高い位置を押弦することになります。

◆小指+薬指の拡張
曲中に登場する代表的な和音の流れとして「Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅴ7-Ⅰ」にあたる、 「G C D D7 G」のコードの押さえ方を確認してみましょう。 特に今回の「C」コードは、これまでと違って①弦「ソ」を押弦するため、 「G」コードと同様に左手の「4=小指」と「3=薬指」の拡張がポイントになります。


◆メロディ練習
ギター独奏曲のタイプとしては「低音のメロディ」に「和音」が加わった構成になっています。
まず最初は、このメロディの部分を取り出してみましょう。

◆跳弦
2小節、6小節、14小節にある、⑥弦「ソ」~③弦「ソ」の部分は、 「P指」による『跳弦』の技術を用います。 今回は③弦「ソ」が開放弦なので、左手の押弦が問題になることは無いと思いますが、 右手P指の方は⑥弦~③弦へと跳躍の幅が広くなっています。


この場合、無理に右手の位置を固定させてP指の関節動作のみで弾こうとせずに、 この弦の幅の分だけ右手全体を上下に移動させてみると良いでしょう。(写真:上)

◆ポイント
・③②①弦の和音は「ima指」で、②①弦の和音は「im指」で弾きます。
・4小節後半、8小節後半の低音は接続詞にあたる音形なので、 クレッシェンドしながら次の小節に進めてみると良いでしょう。


・練習番号「B」「C」最後の小節、 フレーズの終わりにタイムラグ・アルペジオで弾く3拍目の和音は、 その手前の和音の余韻にあたるので、それほど大きな音量は必要ありません。 軽く響かせるように弾くと効果的です。


・練習番号「C」冒頭、低音のメロディ=④弦「ファ」の音は『#=シャープ』が付くので注意が必要です。 また、この17小節~20小節付近は、右手左手、共に運指が激しくなるので、 練習開始当初は、多少、スピードを落としながら、堅実な演奏を目指しましょう。

今回、新たに加わった①弦「ソ」を含む「C」コードのような押弦パターンは、 小指と薬指の押弦に慣れるまで、多少、時間が必要かもしれませんが、 高音のメロディに和音(=伴奏音)を加えた独奏曲にも頻繁に用いられるパターンなので、 根気よく熟練度アップを目指していきましょう。