グリーティングカード Greeting Cards op.170

テデスコは、アンドレス・セゴビアとの出会いによってクラシックギターの為に多くの作品を書いていますが、 後年、アメリカに移住してからは、本家のクラシック作品の他にハリウッド映画の音楽にも携わった関係からか交友関係がかなり広いようです。



そんな彼の人柄を思わせる作品に『グリーティングカード』(Greeting Cards op.170)があります。 この曲は、彼が親しかった友人達の名前のアルファベットを音階にあてはめて作曲されているのが特徴で、 全部で51曲からなる小品集になっています。
※n00=作品ナンバー 19XX=制作年 曲名/使用楽器 (献呈者)

n01 1953 Tango/Piano(André Previn)
n02 1954 Serenatella/Violin and piano(Jascha Heifetz)
n03 1954 Valse/Violoncello and piano(Gregor Piatigorsky)
n04 1954 Mirages/Piano(Gieseking)



アンドレ・プレヴィン(André Previn 1929-)※n01
指揮者、クラシック音楽・映画音楽・ジャズピアニスト、作曲家。
大手映画会社MGMと契約後は数多くの映画の作編曲、音楽監督を務めている。
ヤッシャ・ハイフェッツ(Jascha Heifetz 1901-1987)※n02
「ヴァイオリニストの王」と称された20世紀を代表するヴァイオリニスト。
グレゴール・ピアティゴルスキー(Gregor Piatigorsky 1903-1976)※n03
ウクライナ生まれのアメリカで活躍したチェロ奏者。ルービンシュタイン(ピアノ)、ハイフェッツ(ヴァイオリ)と共に「百万ドル・トリオ」と称される。
ヴァルター・ギーゼキング(Walter Wilhelm Gieseking 1895-1956)※n04
ベートーヴェンやモーツァルト、ラヴェルやドビュッシーを得意としたドイツのピアニストであり作曲家。 天才的な記憶力を持ち、録音も暗譜で行い、新曲も軽く目を通しただけで演奏ができたと伝えられている。

n05 1954 Tonadilla/Guitar(Andrès Segovia)
n06 1954 Rondel/Guitar(Siegfried Behrend)
n07 1954 Preludio in forma di Habanera/Guitar(Bruno Tonazzi)
n08 1954 Humoresque/Violin and piano(Tossy Spivakovsky)



アンドレス・セゴビア(Andrès Segovia 1893-1987)※n05
20世紀を代表するスペイン人ギタリスト。現代のクラシックギター奏法の父と称される。
ジークフリート・ベーレント(Siegfried Behrend 1933-1990)※n06
ドイツのギタリスト、指揮者、作曲家。ベルリン・フィル伴奏でアランフエス協奏曲のソリストをつとめる。 また、マンドリンオーケストラの指揮者としても活動しており、戦後ドイツのマンドリン音楽の向上に努めた。
ブルーノ・トナッツィ(Bruno Tonazzi 1924-1988)※n07
ドイツのギタリスト。リュート、ギター、マンドリンの分野に関する研究家。
トッシー・スピヴァコフスキー(Tossy Spivakovsky 1906-1998)※n08
ロシア出身のヴァイオリニスト。18歳の時、フルトヴェングラーに認められベルリン・フィルのコンサートマスターに着任。 渡米後はクリーヴランド管弦楽団のコンサートマスターを務め、後年、ジュリアード音楽院のヴァイオリンと室内楽を担当していた。

n09 1954 Fandango/Piano(Amparo Iturbi)
n9a 1954 Lullaby/Piano(Claudia)
n10 1955 Tanka(Japanese Song:短歌)/Guitar(Isao Takahashi)
n11 1955 Etude/Piano(Jacob Gimpel)

n12 1956 "Für Erna"[Albersheim](Instead of "für Elise")
Albumblatt für Klavier von Mario(Instead of "Ludwig van")/Piano

n13 1956 A Canon for Robin[Escovado]/Piano
n14 1957 Ninna Nanna, a Lullaby for Eugene/Guitar
n15 1958 Canto delle Azzorre/Guitar(Enos)
n16 1958 A Fandango for Escovado/Piano
n17 1958 Ricercare/Piano(Luigi Dallapiccola)



アンパロ・イタービ(Amparo Iturbi 1898-1969)※n09
アメリカにおけるスペインのピアノ曲演奏の先駆者。
高橋 功(Isao Takahashi 1907-2003)※n10
アフリカのランバレネにてシュバイツァー博士の助手としてハンセン病対策などに従事。 ギター奏者としても有名でフランス国営放送主催のパリ国際ギターコンクール審査員を務める。
ヤコブ・ギンペル(Jacob Gimpel 1906-1989)※n11
ポーランド人ピアニスト・音楽教師。渡米後は洋画『ガス燈』やアニメ『トムとジェリー』などのピアノの吹き替え演奏を担当している。
ルイージ・ダッラピッコラ(Luigi Dallapiccola 1904-1975)※n17
十二音技法を用いて作曲をした最初のイタリア人作曲家。戦後、アメリカのタングルウッド音楽祭に出演、 またニューヨーク市立大学クイーンズ校で作曲の教授を務める。

n18a 1959 Chorale-prelude/Organ(Albert Schweitzer)
n18b 1959 Fugue/Organ(Albert Schweitzer)
n19 1959 Duo-Pianism/two pianos(Hans and Rosaleen Moldenhauer)
n20 1960 Little March/Piano(Scott Harrison)

n21 1960 Suite 508/viola and piano
・Entrata(Walter Hodgson)
・Pavane(H Owen Reed)
・Tambourin(Marie Iliff)
・Aria(Jean Greenwell)
・Toccata(Ernst Victor Wolff)
・Gavotta Variata(Hans Lampl)
・Gigue(Sherman Krane)

n22 1960 Slow, with variations/Piano(Nicolas Slonimsky)
n23 1960 Intermezzo/Violin and piano(Harvey Siegal)
n24 1960 Valse bluette/Violin and piano(Eric Friedman)



アルベルト・シュヴァイツァー(Albert Schweitzer 1875-1965)※n18a,n18b
ドイツ系の神学者・哲学者・医者・オルガニスト・音楽学者。 日本では児童向け偉人伝において親しまれている20世紀を代表するヒューマニスト。 アフリカのランバレネにて、当地住民への医療に生涯を捧げ、その医療奉仕活動が評価されノーベル平和賞(1952)を受賞。
ハーバート・オーエン・リード(Herbert Owen Reed 1910-2014)※n21
アメリカの作曲家、指揮者。大学のビッグバンドのための編曲も有名。 ミシガン州立大学の音楽科で名誉教授として退任するまで音楽理論と作曲を教えた。
ニコラス・スロニムスキー(Nicolas Slonimsky 1894-1995)※n22
ロシア系アメリカ人の作曲家・指揮者・音楽評論家・辞書編集者・作家。
エリック・フリードマン(Eric Friedman 1939-2004)※n24
アメリカのヴァイオリ二スト。1966年のチャイコフスキー国際コンクールで6位入賞。 1980年に自動車事故で左手と腕を負傷してからはイェール大学での教育活動に専念した。

n25 1960 Hungarian Serenade/Violin(Miklos Rozsa)
n26 1960 Leggenda per pianoforte/Piano(Gisella Selden-Goth)
n27 1960 Angelus/Piano(Nino Rota-Rinaldi)
n28 1960 Ein Quartett-Satz/String Quartet(Walter Arlen)

n29 1961 Arabesque/Harp(Roger)
n30 1961 Melodia/Piano(Claudio Sartori)
n31 1962 Prelude and Fugue/Piano(Gerhard Albersheim)
n32 1962 Prelude, Aria and Fugue/Piano(Hugh Mullins)
n33 1962 Canzone Siciliana/Guitar(Mario Gangi)



ロージャ・ミクローシュ(Miklos Rozsa 1907-1995)※n25
ハンガリー出身のアメリカの作曲家。ハイフェッツやピアティゴルスキーのために室内楽作品を作曲。 映画音楽の作曲家としては、アカデミー作曲賞に17回ノミネートされ3度受賞している。
日本では特に1960年の『ベン・ハー』が大ヒットして広く親しまれた。
ニーノ・ロータ(Nino Rota-Rinaldi 1911-1979)※n27
イタリアの作曲家。クラシック音楽と映画音楽で活躍。『戦争と平和』(1956年)、『太陽がいっぱい』(1960年)、 『ロミオとジュリエット』(1968年)、『ゴッドファーザー』(1972年)など、映画音楽の分野で多大な業績を上げている。
クラウディオ・サルトーリ(Claudio Sartori 1913-1994)※n30
イタリアの音楽学者、ジャーナリスト、音楽評論家。
マリオ・ガンギ(Mario Gangi 1923-2010)※n33
イタリア人ギタリスト、作曲家。ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、日本で演奏会を開催。
多くのギターファン獲得の為に積極的にラジオやテレビに出演していた。

n34 1963 Ballatella/Guitar(Christopher Parkening)
n35 1964 Canzonetta/Piano(Nick Rossi)
n36 1964 Sarabande/Guitar(Rey de la Torre)
n37 1964 Romanza/Guitar(Oscar Ghiglia)
n38 1966 Fantasia/Guitar(Ronald(1932)e Henry(1659-1695)Purcell)
n39 1965 Canción Cubana/Guitar(Hector Garcia)



クリストファー・パークニング(Christopher Parkening 1947-)※n34
セゴビアの推薦を受け、アメリカで最も人気を得てきたクラシックギタリスト。
ホセ・レイ・デ・ラ・トッレ(José Rey de la Torre 1917-1994)※n36
若い頃はキューバの神童と評され、ミゲル・リョベートに師事。 アメリカデビュー後は、タレガ、ソル、ボッケリーニなど、数多くのアルバムを残している。
オスカー・ギリア(Oscar Ghiglia 1938-)※n37
イタリアのギタリスト。サンチャゴ・デ・コンポステラ音楽院、キジアーナ音楽院でセゴビアに師事。 1963年のパリ国際ギターコンクール第1位。優れた教授法で多くの優秀な弟子を育てている。日本人では福田進一が師事。
ヘクター・ガルシア(Hector Garcia 1930-)※n39
エミリオ・プジョルに師事したキューバ系アメリカ人のクラシックギタリスト・作曲家。

n40 1966 Canción Venezuelana/Guitar(Alirio Diaz)
n41 1966 Canción Argentina/Guitar(Ernesto Bitetti)
n42 1966 Estudio/Guitar(Manuel López Ramos)
n43 1967 Aria da chiesa/Guitar(Ruggero Chiesa)



アリリオ・ディアス(Alirio Diaz 1923-2016)※n40
ベネズエラ出身のクラシックギタリスト・作曲家。イタリアへの演奏旅行中にセゴビアと出会い師事。 ラウロやバリオスなど南米のギター作品を広く世に紹介した演奏家。
エルネスト・ビテッティ(Ernesto Bitetti 1943-)※n41
世界中の主要なオーケストラと共演しているアルゼンチン出身のクラシックギタリスト。
コロンビア、ドイツグラムフォン、EMIにて録音を行い多くのアルバムを制作。
インディアナ大学ギター科教授。
マヌエル・ロペス・ラモス(Manuel López Ramos 1929-2006)※n42
アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。メキシコに移住してからは、この国の歴史文化と音楽を研究した。 ロシア、ポーランド、フランス、イングランド、オランダ、ドイツ、ブラジル、アメリカなどの国で音楽的才能を評価される。
ルッジェーロ・キエザ(Ruggero Chiesa 1933-1993)※n43
イタリアのクラシックギタリスト・音楽教師。ギター関連の研究書を多く出版。

n44 1967 Brasileira/Guitar(Laurindo Almeida)
n45 1967 Second arabesque/Harp(Pearl Chertok)
n46 1967 Japanese Print:日本版画/Guitar(Jiro Matsuda)
n47 1967 Volo d'Angeli/Guitar(Angelo Gilardino)

n48 1967 Canzone Calabrese/Guitar(Ernest Calabria)
n49 1967 Prelude/Organ(Frederick Tulan)
n50 1967 Tarantella campana/Guitar(Eugene di Novi)
n51 1967 The Persian Prince/Viola and Harp(David Blumberg)



ローリンド・アルメイダ(Laurindo Almeida 1917-1995)※n44
ブラジル・サントス出身。ジャズギタリスト、コンポーザー、アレンジャー。クラシック、ジャズ、ボサノバと幅広い演奏スタイルで活動。 グラミー賞に16回ノミネート、5回受賞している。
パール・チャートック(Pearl Chertok 1918-1981)※n45
国際的に見なされたハープ奏者、作曲家。シェルトークハープ協会の会長、大学教授、イスラエル国際ハープ コンクールで審査員を務めた。
松田晃演(あきのぶ)/旧名:松田二朗(Jiro Matsuda 1933-)※n46
日本のクラシックギター奏者。アンドレス・セゴビアの高弟。
カーネギー・ホールにてニューヨークデビュー後、アメリカ各地、カナダ、ロンドン、パリ、ノルウェイ、香港など、世界各地で演奏活動を行う。
アンジェロ・ジラルディーノ(Angelo Gilardino 1941-)※n47
イタリアの作曲家、ギタリスト、音楽学者。アレッサンドリアのアントニオ・ヴィヴァルディ音楽院教授。 ギターソロ、室内楽、ギター協奏曲など数多くの楽曲を作曲している。