高音弦の音階
これまでは、主に「P指」による低音弦の弾き方を中心に、
アルペジオ(=分散和音)や低音にメロディに和音を加えた独奏曲を練習してきましたが、
ここからは高音弦でメロディを奏でる独奏曲に親しんでいきましょう。
今後の練習ポイントは、およそ以下のようになります。
・ローポジション(1フレット~3フレット付近)の音階練習。
・ミドル~ハイポジション(5フレット~13フレット付近)の音階練習。
・高音に低音を加えた音形の弾き方。
・P指による連続弾弦~プラガール奏法。
・テンポ感を演出するタイムラグを伴うアルペジオ奏法。
・高音のメロディに和音(=伴奏音)を加えた独奏曲。
・これらの技術を可能にするための指の動作と爪の形状。
・今回は「a指」による高音弦、①弦~③弦の音階を覚えます。
◆フォームの確認
まず最初に、和音を弾く時と同じ様に右手「ima指」の各関節を軽く内側に曲げ、
「Pima指」の先端を弦に接近させ、
「P指=⑥弦」「i指=③弦」「m指=②弦」「a指=①弦」という具合に、
それぞれの指を各弦の上にセットしてみます。(写真:左)
この「a指」で音階を弾いていない段階で右手のフォームが崩れていないかを確認します。
◆a指の型
次に、セットしている「a指」以外の「Pim指」を弦から離してみます。
この時、手首や肘の関節を使って右手全体を浮かしてしまうと「a指」も一緒に弦から離れてしまいますから、
・「P指」は付根の関節を使って表面板とは反対方向にむけて数ミリ程度動かし、
・「im指」は第2関節(=指先から2番目の関節)を軽く内側に曲げてみると良いでしょう。
(※「im指」は、強く握り込まないように注意が必要です)
1. a指の先端(=指先の皮膚の部分)が弦に触れます。(=接弦)
2. 弦が指の上を移動して爪に到達、
3. 爪で弦をとらえながら、弦にパワーを加えます。
指先で弦にパワーを加え、表面板方向に押し込むと、弦は元の位置に戻ろうと反発してきます。
この弦の反発力を「a指」の付根(=ナックルの部分)で受け止めるようにします。
またこの時、「P指」を対立運動(=親指と小指を合わせる)方向に軽く緊張させておくと、
「a指」の受け止めに効果を発揮します。(拇指対立筋:Opponens pollicis muscle)
4. このまま指先を隣の弦(=①弦なら②弦、②弦なら③弦)の方向へ滑らせ、
5. 指が弦から離れ(=離弦)、弦が振動して発音、
6. 指先は隣の弦上で寄り掛かるような状態で停止します。
上の写真は「P指」が脱力状態にあり、
「a指」を内側に曲げる動作を使って弦を掻き上げるようにして振動させているケースです。
この屈曲動作の場合、「a指」のみを動かすことが非常に難しく、
薬指の筋運動に影響を受けた他の指も同時に動いてしまう~という特徴があります。
一応、この様な弾き方でも弦を振動させることは可能ですが、
ギター本来の響きが得られない現象に陥る危険性があるので注意しましょう。