Chapter 3

重音の練習

今回の楽譜、前項の「野ばら」の後半にあたる練習番号「B」の部分は、 メロディの弱拍部も重音で弾くパターンをはじめ、低音の音形=ベースラインの変化、 左手の逆指(ぎゃくし)を使用する運指、プラガール奏法で弾く和音などの要素が加わり、 多少、難易度が高くなっています。


◆速度の変化
11小節、2拍目の「rit.」と、13小節の「a tempo」に注意しましょう。
「rit.」----------リタルダンド。だんだん遅くします。
「a tempo」----ア・テンポ 。変化したテンポを元の速さに戻します。

《2.小節》
練習番号「B」はメロディの弱拍部も重音になっていますが、 この部分も強拍部と同じ力量を弦に与えてしまうと、 全体的に重々しい雰囲気が漂い、曲の流れが沈滞してしまう恐れがありますから、 強拍部の「低音と重音の響き」の中に含まれる程度の音量になるように調整してみましょう。


冒頭、2小節目の音形も変化しています。
・2小節、1拍目の「ミ・ミ・ソ#・シ」から弱拍の「レ#・ラ・シ」にかけて、
・そして、次の2拍目の「ミ・ソ#・シ」までの部分は、
左手の「2=中指」を軸指にして練習してみると良いでしょう。

◆重音の練習
左指の運指、特に軸指の使い方に慣れるには、 この曲の中に頻繁に登場する重音を音階にしてみると効果的でしょう。 以下の音階は、スタートとゴールにあたる「ミ・ラ」のみは4度、他の重音は3度の関係にあります。


ただし、上記の楽譜通りに「im指」を多用する音形で練習していると、 右手のフォームを崩してしまう恐れがあるため、 実際に楽器を手にして練習する際は、以下の楽譜のように、 重音「=im指」に低音「=P指」を加えた音形で練習すると良いでしょう。


また、冒頭のスタート部分にあたる「ミ・ラ」の重音は、 「2=中指」で「④弦ミ」を「1=ひとさし指」で「③弦ラ」を押弦する、 通常とは異なる『逆指』を使います。

◆「低音+重音」の練習
右手「P指」と「im指」を交互に弾きながら左手の軸指の使い方に慣れたところで、 低音と重音を一つにまとめ、適度にタイムラグを付けた「Pim指」の練習に入ります。


最後に、「im指」で弾く4分音符と8分音符のリズムを持つ重音の音階に、 「P指」による付点4分音符の低音を加え、 8分の6拍子の「野ばら」を想定した音形に慣れてみましょう。


《7.小節》
練習番号「B」=「7小節の最後の音」から「8小節目の1拍目」にかけて、 この部分の左指の動きを比べてみると、 上段の運指より、下段の逆指を用いた運指の方が、 左手の移動距離が少なくて済むことが理解できるかと思います。


ある程度の熟練度を持つギター経験者にとっては、 どちらの運指を採用しても、それほど大きな違いは感じられないかもしれませんが、 初めて重音による音階練習を試みる際は、この逆指を使った運指から慣れていくことをお薦めします。

《12.小節》
この12小節「E D E7 A」の後半「D→E7→A」のコードチェンジは、
・練習番号「A」では単音のメロディでしたが、
・練習番号「B」では「ima指」で弾く和音になっています。
この和音の押弦は、前項『半セーハとポジション移動』の「A D E7 A」の応用編になります。


12小節、2拍目=5フレットセーハの「A」コードは、
・④弦7フレット「ラ」を「3=薬指」で押さえ、
・⑤弦開放「ラ」から①弦までを、
・「P指」による連続弾弦=プラガール奏法で弾きます。


ヴェルナーの野ばら

ハインリッヒ・ヴェルナー(Heinrich Werner 1800-1833)はドイツの作曲家で、 84曲の作品の大半は歌曲でした。 彼の最も広く知られた作品は、ゲーテの詩に民謡風の旋律を付けた『野ばら』で、 ヴェルナーが指揮を務めていたブラウンシュヴァイク合唱団のコンサートで初演されましたが、 そのわずか4年後の1833年、結核を患い、32歳の若さで亡くなっています。


◆ポイント
・半セーハ、セーハを使用する和音。
・和音による5フレット、ミドルポジションへの移動。
・左指の逆指。
・「im指」で弾く重音のメロディ練習。
・プラガール奏法で弾く和音。
・リタルダンド(ritardando〔伊〕)と、ア・テンポ(a tempo〔伊〕)。