Chapter 3

半音階

隣り合う音の音程が全て半音で構成される音階のことを半音階(chromatic scale)といいます。
半音階を使った練習は、左手の基本フォームを身に付けながら、 無駄のない合理的な指の動きを覚える際に効果的といえます。

【肩、肘、手首の位置】
ギターを膝の上に乗せ、左手を「ダラ~ン」と脱力させたら、 なるべく肘の関節以外は使わないように気を付けながら指先を指板に近づけてみます。 この時、個人の体格(=肩幅の広さ)の違いから微妙な違いはあるものの、 左手の掌が、およそ7~5フレット付近にあることが確認できるでしょう。


【①弦上の半音階】
この半音階の練習は、7フレットからローポジション方向に移動して行くにしたがい、 各フレット間の間隔の違いを指に覚え込ませながら、 左指先端の指板に対する進入角度を、 直角から斜め方向へ徐々に変化させることがテーマになります。

◆上行音階
各フレット間の音程は半音になっていますから、 例えば、下の楽譜のように7フレットの「シ」を主音にした場合は、 隣に位置する8、9、10フレットという具合に順番に押弦していきます。 この時、一度、押弦した指は弦から離さずに弦上にセットしたままにしておきます。


◆下行音階
各小節の後半、3拍、4拍目の下行音階は、 すでにセットしてある指を「4=小指」から順に離していくことになります。 前述の上行音階の際、押弦した指を弦から離してしまうと、 この下行音階で、再度「押弦~離弦」という2つの動作が必要ですが、 弦上にセットおけば「離弦」のみ、1つの動作で済むことになります。 この様に、なるべく無駄な動きを排除しながら練習してみましょう。


◆直角と斜めのフォーム
7フレット上で「1~4」の4本の指をセットした時、 「3=薬指」の先端が指板に対して直角になるように意識します。 この時「1~4」の4本の指は、付根の関節から内側に曲げると、 各指の先端が接近する~という性質を持っていますから、 「1=ひとさし指」と「4=小指」が、やや内側方向に傾いていても構いません。(写真:左)


例えば「ジャンケンのパー」の型の場合、どんなに指先を限界まで広げられたとしても、 この間隔を保持したまま、付け根の関節を曲げるのは不可能です。 付け根の関節を曲げれば、指先は自然に接近していくことになりますから、 前述の「1」「4」の指が、多少、内側方向に傾いていても神経質に考える必要はありません。

◆ポジション移動
7フレットからローポジション方向に移動して行くにしたがい、 「1=ひとさし指」と「2=中指」の指板に対する角度を、徐々に傾けていきます。


【5フレット上の半音階】
この半音階練習は、高音弦から低音弦へ移動していく中で、 斜めから直角のフォームへ変化させる技術を習得することがテーマになります。


◆弦移動によるフォームの変化
・①弦上では斜めのフォームだったものが、
・③弦では、やや斜め方向に変化、
・低音弦では各指を伸ばすようにしながら、直角のフォームへと切り替わっていきます。


◆左手親指の位置
ネックに触れている左手の親指は、 ほぼネックの中央に位置していると思いますが、 低音弦へ移動する際、この親指を無理に固定させながら、 手首を突き出すことによって指を届かせようとする必要はありません。


この様な場合は、左手の親指の位置を高音弦の裏側方向へ(=約1cm~2cm程度)移動させ、 手の甲の角度を、多少、変化させてみると良いでしょう。 (左指の入射角:参照)